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フューチャーセンターを成功させる決め手は “トータルデザイン”

日本全国のフューチャーセンターを横断的に見ると、一部の成功している(あるいは、継続的に活動できている)フューチャーセンターと、思うように成果が出せていないように見えるフューチャーセンターが存在する事実に気がつきます。

フューチャーセンターは一つの方法論でしかありません。ですから、フューチャーセンターが成功するか否かを決めるのは、「自らの活動にフューチャーセンターをどう活かすのか?」という視点、すなわちトータルデザインであると考えられます。

フューチャーセンターを始めたばかり、あるいはフューチャーセンターを始めたいと思っている方向けに、優れたトータルデザインに基づいてフューチャーセンターを活用している事例を紹介します。

 

フューチャーセンターは道具(システム、方法論)である

フューチャーセンターの “センター” という語は、日本語の感覚では(行政センターなど)施設を意味する感覚がありますが、実質から言うと “場” と解釈するのが一般的です。すなわち施設を称してフューチャーセンターと呼ぶのは、多くの場合、誤った解釈と言えます。

これからフューチャーセンターを始めようとする方が注意しなければならないのは、「フューチャーセンターという施設をつくり、多様な人を集めて、未来志向で対話をすれば、すべてがうまくいく」という事実誤認であると私は考えています。

例えば、今やスマートフォンの価値を疑う人はいないでしょう。しかしながら、スマートフォンさえあればいい仕事ができるようになるわけではありません。スマートフォンを仕事にどう活用するのか? という視点がなければ、5万円から10万円の投資は無駄になります。

同じように、フューチャーセンターや、そこで行われるフューチャーセッションの価値に疑いはありませんが、的確に活用できなければ宝の持ち腐れに終わってしまいます。

 

静岡県立大学・国保ゼミのフューチャーセンター活用

純粋にフューチャーセンターという名の “場” を設けている組織で、最も優れたトータルデザインを確立させているのは、私の知る限り、静岡県立大学・経営情報学部の国保ゼミです。

国保ゼミは大学の研究室ですから、大前提となるのは学生の教育です。経営情報学部として、社会に出るための準備、すなわちキャリア教育に力を入れているようです。

もとより国保先生には、大学生が社会人と接する機会が少ない事実に問題意識があったそうです。大学と地域社会の間にある溝を埋めようと、オープンゼミを開催していました。

その後、長尾彰氏に「フューチャーセンターを立ち上げませんか?」と声を掛けられたこと、そして震災を契機に学生の可能性に改めて気づいたことがきっかけとなり、フューチャーセンターへと発展させます。

国保ゼミのフューチャーセンター活用の第一義は、学生と社会(人)の接点を生み出す点にあります。

【参考リンク】
フューチャーセンターを立ち上げてみた(1) 立ち上げたきっかけ: Food for Thought

震災とフューチャーセンター: Food for Thought

と同時に、国保ゼミでは、企業とコラボレーションして商品を開発したり、地元と手を取り合って地域活性に取り組んだりと、ゼミ生が必ずマイ・プロジェクトに取り組みます。プロジェクトの企画・設計や、実行において、フューチャーセンターのような場が学生の助けとなるのは言うまでもありません。

しかしながら学生側のメリットばかりでは、地域の人々が継続的に参加する理由がありません。学生は社会経験が不足しているかわりに、社会常識にとらわれずにゼロベースで考えられる強味があります。社会人には環境の制約がある影響で難しいゼロベース思考は、地域社会の人々の課題解決を助けられます。

学生側がメリットを提供できるのであれば、地域社会の人々にとってもフューチャーセンターに足を運ぶメリットが生まれます。そして、社会人として培ってきた知識や経験を、学生側にもたらします。

このギブ&テイクの関係が成立すれば、(未来志向をベースに、対等な関係で対話を重ねることによって)徐々に活きたコミュニティができあがってきます。学生(他学部、他大学も含む)と地域社会の人々の連携が進み、また国保ゼミを参考に新たにフューチャーセンター活用に踏み切る事例も増えつつあります。

結果として、「社会人と大学生がシームレスに協力し合える街(国保ゼミフューチャーセンターを国保先生と共に立ち上げた中村克海さん談)」へと動き始めているのです。

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このように国保ゼミでは、教育機関として学生が成長機会を得る目的でフューチャーセンターを活用しつつも、地域社会へは課題解決の場を提供することに成功しています。そればかりか、地域社会の質そのものさえポジティブな方向へ変えつつあります。

逆に言えば、教育機関としてのメリットと、地域社会にとってのメリットの両方を追い求め、両立させられたからこそ、類い希なる好循環・相乗効果が生まれ、国保ゼミフューチャーセンターの他にはない魅力に繋がっているとも言えそうです。

フューチャーセンターを取り巻くすべての人々に明確なメリットがあり、様々な要素が有機的に絡み合うようにトータルデザインできてこそ、フューチャーセンターは真価を発揮するのだという好例だと私は考えています。

 

じゃらんリサーチセンターのフューチャーセンター活用

続いて、じゃらんリサーチセンター・地域イノベーション研究における、熊本県黒川温泉でのフューチャーセンター活用について紹介します。

優れた一個人のアイデアに頼ったり、外部コンサルタントの知識に頼ったりするのでは、一時的には良くても、長い目でみればジリ貧となります。そこで「地域の課題を、自分たちで継続的に解決していけるような地域づくり」を目指すのが、地域イノベーション研究です。

地域イノベーション研究の特徴は3つです。

(1)「生命論的アプローチ」
地域は、分析・管理などの「機械論的」アプローチでは決して良くならない。
地域を複雑な「生命体」と捉え、その本来の生命力を育て、創発を促すアプローチ

(2)「伴走→自走モデル」
外部の人が答えを出す「先生モデル」ではなく、地域の人々が答えを自ら見つける力を養う支援に特化

(3)「土づくり」
いきなり「実づくり」ではなく、関係性・チーム・文化創りなどの丁寧な「土づくり」が欠かせない

地域イノベーション研究|じゃらんリサーチセンター

地域イノベーション研究においては、どうしたら課題を解消できるのか、物事を前に進められるのか等のナレッジがすでに存在します。問題になるのは、ではどうやって現実に人々を動かしていくのか? という仕組みづくりです。熊本県・黒川温泉の事例では、フューチャーセンターあるいはフューチャーセッション的方法論が随所に活用されました。

一例を紹介します。黒川温泉では、古くから人々に地域づくりの意識が根付いており、青年部を中心に変革の動きがありました。地域がもともと有しているこの資産を活かすためには、青年部の親世代である経営者層との相互理解が欠かせなかったと言います。なぜなら、経営者層の理解が得られなければ、どんなに優れたアイデアも実行に移せないからです。

地域イノベーション研究の考え方で表現すれば、黒川温泉という生命が自らの活力を存分に発揮するために、ある種の刺激が必要でした。そこで、フューチャーセッションの方法論を活用します。多様なステークホルダーを招き、全員が対等に、誰もが主役として意見を出し合える場を用意すれば、言うまでもなく青年部世代と親世代の関係は深まります。

※このあたりの詳細については、上記のじゃらんリサーチセンターWEBサイト内、「研究プロジェクトの詳細やポイントは、とーりまかし記事で紹介しています」というPDFリンクにおいて知ることができます。

このように、自らの活動においてフューチャーセンターの方法論が必要となる部分を見極め、的確に当てはめる視点を持つことで、アイデア創出、コミュニティ醸成など、フューチャーセンターの機能を充分に活かすことができます。

 

フューチャーセンターを活用して何をするのか?という視点が絶対に必要

「フューチャーセンターをつくりたい」という気持ちが先行するケースが少なからず存在するのは、あるいは仕方がないのかもしれません。それほどにフューチャーセンターの方法論は優れており、魅力があると私自身も考えています。

しかしながら、「フューチャーセンターをつくりたい」という気持ちは自己満足でしかありません。特に理由もなく「スマートフォンがほしい」からと購入したところで、満たされるのは所有欲だけです。繰り返しになりますが、どのように活用するのかという視点がなければ、宝の持ち腐れに終わります。

一方で、「フューチャーセンターをつくりたい」という気持ちを否定するつもりはありません。なぜなら、どのように活用するかは、後からでも考えられるからです。実際にスマートフォンを触ってみれば、スマートフォンの活用方法に気づくかもしれない、というわけです(逆に、使いにくくて自分には合わない事実に気づく可能性もあるでしょう)。

ただし、フューチャーセンターを成功させ、活動を継続させるレベルにまで引き上げるには、「フューチャーセンターを活用して何をするのか?」という視点が絶対に欠かせません。使い方が的確であってこそ、フューチャーセンターという名の道具(システム・方法論)は、機能を発揮します。

最終的には、国保ゼミのように好循環・相乗効果が生まれるような、優れたトータルデザインを確立するべきでしょう。実現できれば、当初の想定を大きく越え、フューチャーセンターは大きな価値をもたらしくれます。

ぜひ上記の2例を参考にしていただければと思います。

 

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フューチャーセンター活用の2つの指針|アイデア重視かコミュニティ醸成重視か

フューチャーセンターは方法論であり、システムの名称です。よって、どのように活用するかによって、様々に姿を変えます。

日本で成功しているフューチャーセンターは、大きく「アイデア重視型」と「コミュニティ醸成重視型」の2つに分類できるのではないか、という仮説を私は持っています。フューチャーセンターを始めたばかり、あるいはフューチャーセンターを始めたいと思っている方向けに、解説します。

 

運営母体によって重視する評価指標が変わる

いくつものフューチャーセッションに参加している方はご存じのとおり、世の中には多様なフューチャーセンターが存在します。例えば、企業主体のセッションと、被災地でのセッションは、目的も、手法も、雰囲気も、まるで異なります。

具体的には、アイデアを重視するのか、それともアイデアを実行するためのコミュニティづくりを重視するのか、という違いがあると分析しています。

もちろん、アイデアとコミュニティ醸成は、持ちつ持たれつの関係です。どちらか一方が欠けてしまっては成り立ちません。アイデアがなければ現状を変えることができないし、活きたコミュニティがなければ、アイデアがあったところで実現できず、やはり無意味です。

ただし、どのフューチャーセンターも、どちらかに比重が置かれます。なぜなら、フューチャーセンターを活用しようとする運営母体にとって、すでに備わっている要素と、不足している要素があり、当然ながら不足している要素を埋める目的でフューチャーセンターを活用するからです。

 

アイデア重視型(企業や大学など)

もともと持続的組織であるケース、たとえば企業や大学は、フューチャーセンターに斬新なプロジェクト創出、商品開発など、アイデアや気づきや発想を求めます。

例えば企業であれば、仕事として取り組むため、途中で投げ出すという選択肢は基本的にありません。やる気の有無に関係なく、期限が切られ、価値を生み出すために行動が迫られます。組織の枠が実行と継続を助けてくれるというわけです。

一方で、この強固な枠がリスクにもなります。メンバーが固定されていたり、様々な条件(予算、人員、人間関係、価値観、社会的立場、縄張り意識など)に縛られたりする影響で、新しい発想が生まれにくくなります。

そこでフューチャーセンターに、アイデアや気づき、斬新な発想を求めます。

 

コミュニティ醸成重視型(被災地、地方、NPOなど)

被災地や地方、NPOなどのフィールドには、価値のある取り組みをしている人々、あるいは現状を変えようという意欲を持った人々がたくさん存在します。課題に対する答えや、解決の芽は、「すでに存在している」と言っても過言ではないでしょう。

しかしながら、個々の活動では影響力に限界があります。社会を大きく動かすためには(あるいは、変革を加速させるためには)、せっかくの資産を充分に活かすためのコミュニティづくりが必要です。

例えばじゃらんリサーチセンターが手がけた熊本県黒川温泉では、古くから人々に地域づくりの意識が根付いており、青年部を中心にすでに変革の動きがありました。

しかしながら主な経営者層は親世代であり、彼らを説得できればければアイデアを実現できません。そこでフューチャーセンターの仕組みを活用して、互いの思いを理解しあい、理想の未来を共有する必要がありました。

このように、被災地や地方、NPOなどが母体となる活動では、フューチャーセンターに利害関係者による「相互理解」や「理想の未来の共有」など、コミュニティ醸成を期待します。

 

アイデアとコミュニティ醸成を両立してこそフューチャーセンターは成功

もちろんこれは冒頭で断ったとおり、類型的な視点に過ぎません。

例えば、企業であっても、上司や同僚を動かすために、あるいは組織風土を変えるために、フューチャーセンターにコミュニティ醸成を期待する例も少なくないでしょう。

逆に、地方であっても、商工会議所の人間だけの発想だけでは限界があるからと、フューチャーセンターにアイデアや気づきを求める例も当然ながらありえます。

もう一歩踏み込めば、アイデア創出機能とコミュニティ醸成機能の両者を引き出せてこそ、その活動母体はフューチャーセンターの活用に成功していると言えます(少なくとも私の目からは、うまくフューチャーセンターを活用している組織は、両立させているように見えます)。

その前提で、これからフューチャーセンターを始める方は、自分たちのグループが「アイデア」と「コミュニティ醸成」のどちらをより必要としているのかを意識する価値があるはずです。活動におけるフューチャーセンターの位置づけを整理して、活動のトータルデザインに役立てていただきたいと思います。

 

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フューチャーセンターの価値を決める5つの要素

フューチャーセンター、フューチャーセッションにはじめて興味を持った方向けに、フューチャーセンターの価値を決める5つの要素を解説します。

 

1. 未来志向

物事が行き詰まってしまうケースの多くは、明確にゴール(理想像)をイメージできないという原因を抱えています。

熱い思いを持った人たちでゴール(理想像)を共有できれば、あとは課題をひとつひとつクリアして、実際に物事を動かしていくだけです。

よってフューチャーセンターでは、常に未来から考えます。理想の未来をイメージし、ゴールへたどり着くために頭を捻るのが、フューチャーセンターでの対話と言えます。

未来志向については、別記事で詳細に解説しています。

フューチャーセンター最大の特長である “未来志向” について | FutureCenterNEWS JAPAN

 

2. 多様性

専門性よりも思いが重要

フューチャーセンターは通常、参加者を限定せず、オープンに開かれた場とします。狭い地域の話題や、専門的な題材を話し合う場合でも、「あなたは無関係だから」とは拒絶しないのが一般的です。

むしろ留意すべきは、専門性や世代よりも、参加者の思いです。たとえ知識がある人でも、斜に構えて足を引っ張るようでは場を盛り下げ、いい影響になりません。

逆に、真剣に対話しようという姿勢さえあれば、どんなに分野違いでも、必ずセッションに貢献します。個人的には、異分野、異業種、異なるセクター、幅広い年齢層を意識しつつ、必ず一定以上の異分子を入れるべきだと考えています。

 

多様性こそが宝

フューチャーセンターでは、多様性こそが宝となります。ただしこれは、100人くらいいれば誰か1人は斬新なアイデアを出せるだろう、という考え方とは異なります。もしそうだとしたら、その斬新なアイデアを出す一人だけがいてくれればいいわけです。

多様性の豊かな場で対話が行われると、「誰かにとっての常識が、誰かにとっての目から鱗」という状況に頻繁に出くわします。

例えば、とある新規事業を思いついたけれど、業界の常識で言えばミスの多発が心配される。そこで書籍の校正者であれば「ミスを極限まで減らすためにこんな考え方をしています」という話ができます。あるいは物流業界の人であれば「工程をシンプルにすることで素早く捌けるようになっただけでなく、ミスも減りました」という経験談を話せるかもしれません。行政関係者であれば「前例がない事業の認可が降りやすくするためには、こういう方向性にしたほうがスムーズですよ」とアドバイスできるでしょう。

それぞれの分野、業界で工夫して、積み重ねらてきたノウハウが、まったく関係がないような別の事業やプロジェクトで、示唆に富んだヒントになります。仲間内でどれだけ議論しても見つからなかった回答が、多様性の豊かな場では、驚くほどあっけなく見つかるのです。

 

3. フラットな場

私たちが普段おこなっている会議は、どんなに人数が多くとも、2〜3割の参加者しか発言しないと言われています。しかしながら、フューチャーセンターで多様性を存分に活かそうとすれば、このような状況はなんとしても回避しなければなりません。

 

すべての人が対等

第一に、年齢や社会的地位に関係なく、参加者の誰もが対等であるという雰囲気を作ります。フューチャーセンターに慣れている人々ばかりであれば問題ありませんが、流動性の高い場である場合は、ルールを明文化しているケースもあります。

参考になるのは、静岡県立大学の国保ゼミフューチャーセンターです。社会人は学生を未熟だと判断しがちですし、逆に学生側も社会人に強く言われると萎縮してしまいます。そこで、

なお国保ゼミの学生は、ホームゲームの主催者としてアウェイのみなさんをおもてなしいたしますが、議論に関してはあくまで対等な立場として臨ませていただきます。「学生にアドバイスをする場」ではなく、あくまでも「問題を色んな立場から話し合う場」であるということをご理解くださいませ。

国保ゼミのフューチャーセンターについて

と明記しています。

 

誰もが主役

第二に、誰もが主役であると印象づけます。説明してきたとおり、フューチャーセンターは100人に1人のアイデアを出せる天才を求める仕組みではありません。多様な個人が、それぞれにできることがある、という思想を大切にします。

これはファシリテーターを始め、参加者を迎えるフューチャーセンター運営スタッフの手際が大きく影響します。積極的に話しかけたり、セッション中に話題を振ったり、参加者に「自分はこの場所に必要とされている」と感じてもらえるように工夫します。

単に参加者の潜在力を引き出すだけでなく、自分が主体的に関わった場から生まれたアイデアは、参加者が自分ごとと捉えます。いつもの会議で上から降りてきて押しつけられたような結論と違い、参加者が自ら行動しやすくなります。

 

発言のハードルを下げる

第三に、バカげた発言こそを歓迎します。いつもの会議で発言する2〜3割の人々は、馬鹿にされない立場の人か、馬鹿にされない自信のある人であるケースが多いはずです。つまり、「馬鹿にされたら格好悪い」「ダメ出しされたくない」という社会人のプライドが邪魔をしています。

参加者にいったん「こんなことも言っていいんだ」と感づいてもらえると、発言のハードルがグッと下がります。場が一気に温まり、対話が活性化します。

 

4. 対話

フューチャーセンターでは、討論して自分の正しさを証明するのではなく、相手を尊重して理解するために対話をします。参加者がフューチャーセンターを充分に理解していないと考えられるケースでは、相手の意見を否定するのを明確に禁止する場合もあります。

なぜ参加者同士が理解しあう必要があるのかというと、分野や業界、セクター、縄張り意識等を超越して、協力関係を築くためです。

少し話が逸れますが、私は学生団体のマーケティングの相談にのることがあります。いい学生団体か、未熟な学生団体かはすぐにわかります。未熟な学生団体は高尚な理念を掲げつつ、それを自分たちだけでやろうとします。逆に優れた学生団体は、その問題を解決するにはどうするのが最も近道なのかという視点を持ち、誰と連携すればいいのかを模索できます。

実はこれは学生団体だけの問題ではなく、企業やNPOや行政でも同様の傾向が見られます。似たような活動をしているはずなのに、交流が一切無いというケースはザラにあります。変に縄張り意識があったり、プライドがあったり、そもそも連携に値するのかお互いに知らなかったりするのが原因です。

フューチャーセンターでの対話で、お互いを知り、お互いの思いを理解し合うことによって、共通の問題意識や共通の未来像をベースに、それまでは考えもしなかったような協力関係を築けます。力を結集できれば、社会を動かすスピードが加速するのは言うまでもありません。

 

5. ポジティブな雰囲気

フューチャーセンターのデメリット

フューチャーセンターには、なにを差し置いても不可欠なものが一つあります。それは、ある問題や課題について「本気でどうにかしたい」という熱い思いを持った個人です。

例えば南相馬市には、原発事故の被害をモロに受けても、「南相馬が好きだから絶対に何とかしてやる!」という熱い思いを持った人たちいました。おらが街は放っておいたら死んでしまうんです。だから彼らは徹底的に真剣です。漠然と社会貢献がしたいから町おこしでもするか、という人たちとは違います。問題があるのはわかっているけど心の底では「何とかなるでしょ」と甘くみている人々とも違います。だからこそ南相馬市のフューチャーセンター『みんな未来センター』は機能したのです。

フューチャーセンターという方法論のデメリットは、それだけでは現実を動かせない点です。率先して行動し、物事を動かそうとする個人がいなければ、せっかくいいアイデアが出ても実行に移せなかったり、活動を継続できなかったりします。

これがいつもの会議であれば、「あなたはこれをやってください」「あなたはこれを担当してください」と責任を振り分けるので、嫌々かもしれませんが、実行には移せるんです。もっとも嫌々では、実行に移せたとしても成果が出ないかもしれません。成果が出ないのであれば、同じことです。

 

コミュニティが自走を始める

未来志向をベースに、多様性に富んだ人たちと、中立的な場で対話を重ねると、何が起きるでしょうか。

「やろうぜ!」と手を挙げたリーダーの思いに周囲が共感します。それぞれが、それぞれのできる範囲で、あるいは得意分野を活かして、積極的にサポートしようという雰囲気が生まれます。ある課題を解決したいという共通目的の元に、立場も世代も超えた協力関係が発生します。

再びみんな未来センターを例に出します。みんな未来センターに集う人々は震災以後、子供たちが安心して遊べる公園を作ろうとしていました。しかしながら、公園を優先的に除染をしても、誰も遊びに来ませんでした。何となく怖い、近所の人の目が気になる、など理屈ではどうにも動かせない問題があったのです。

そこで、市民の手で公園を掃除し、市民の手で放射線量を計測し、自分たちの目でここは安心して遊べるんだと確認できるように考えたのです。

もちろんこれを実現するには、たった一人の個人の手では足りません。

しかしながら、南相馬で活動する様々な人たちが、みんな未来センターで対話を重ねて、お互いの思いを理解し合っていました。“子供たちが安心して遊べる公園” という理想の未来を共有し、段取りはどうする、チラシは誰がつくる、私はあそこのグループに呼び掛けてみる、と、誰が指示するでもなくプロジェクトは自走していったのです。

こうして生まれた高見公園は、2013年夏にはクラウドファンディングでの資金調達に成功し、じゃぶじゃぶ池まで設置することができました。Facebookページでは、たくさんの子供たちがのびのびと遊ぶ様子が見られていました。

機能するフューチャーセンターには、理想の未来を共有する人々が生み出すポジティブな空気があります。ワクワク感に突き動かされるように、コミュニティは自走するのです。

 

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