フューチャーセンターの価値を決める5つの要素

フューチャーセンター、フューチャーセッションにはじめて興味を持った方向けに、フューチャーセンターの価値を決める5つの要素を解説します。

 

1. 未来志向

物事が行き詰まってしまうケースの多くは、明確にゴール(理想像)をイメージできないという原因を抱えています。

熱い思いを持った人たちでゴール(理想像)を共有できれば、あとは課題をひとつひとつクリアして、実際に物事を動かしていくだけです。

よってフューチャーセンターでは、常に未来から考えます。理想の未来をイメージし、ゴールへたどり着くために頭を捻るのが、フューチャーセンターでの対話と言えます。

未来志向については、別記事で詳細に解説しています。

フューチャーセンター最大の特長である “未来志向” について | FutureCenterNEWS JAPAN

 

2. 多様性

専門性よりも思いが重要

フューチャーセンターは通常、参加者を限定せず、オープンに開かれた場とします。狭い地域の話題や、専門的な題材を話し合う場合でも、「あなたは無関係だから」とは拒絶しないのが一般的です。

むしろ留意すべきは、専門性や世代よりも、参加者の思いです。たとえ知識がある人でも、斜に構えて足を引っ張るようでは場を盛り下げ、いい影響になりません。

逆に、真剣に対話しようという姿勢さえあれば、どんなに分野違いでも、必ずセッションに貢献します。個人的には、異分野、異業種、異なるセクター、幅広い年齢層を意識しつつ、必ず一定以上の異分子を入れるべきだと考えています。

 

多様性こそが宝

フューチャーセンターでは、多様性こそが宝となります。ただしこれは、100人くらいいれば誰か1人は斬新なアイデアを出せるだろう、という考え方とは異なります。もしそうだとしたら、その斬新なアイデアを出す一人だけがいてくれればいいわけです。

多様性の豊かな場で対話が行われると、「誰かにとっての常識が、誰かにとっての目から鱗」という状況に頻繁に出くわします。

例えば、とある新規事業を思いついたけれど、業界の常識で言えばミスの多発が心配される。そこで書籍の校正者であれば「ミスを極限まで減らすためにこんな考え方をしています」という話ができます。あるいは物流業界の人であれば「工程をシンプルにすることで素早く捌けるようになっただけでなく、ミスも減りました」という経験談を話せるかもしれません。行政関係者であれば「前例がない事業の認可が降りやすくするためには、こういう方向性にしたほうがスムーズですよ」とアドバイスできるでしょう。

それぞれの分野、業界で工夫して、積み重ねらてきたノウハウが、まったく関係がないような別の事業やプロジェクトで、示唆に富んだヒントになります。仲間内でどれだけ議論しても見つからなかった回答が、多様性の豊かな場では、驚くほどあっけなく見つかるのです。

 

3. フラットな場

私たちが普段おこなっている会議は、どんなに人数が多くとも、2〜3割の参加者しか発言しないと言われています。しかしながら、フューチャーセンターで多様性を存分に活かそうとすれば、このような状況はなんとしても回避しなければなりません。

 

すべての人が対等

第一に、年齢や社会的地位に関係なく、参加者の誰もが対等であるという雰囲気を作ります。フューチャーセンターに慣れている人々ばかりであれば問題ありませんが、流動性の高い場である場合は、ルールを明文化しているケースもあります。

参考になるのは、静岡県立大学の国保ゼミフューチャーセンターです。社会人は学生を未熟だと判断しがちですし、逆に学生側も社会人に強く言われると萎縮してしまいます。そこで、

なお国保ゼミの学生は、ホームゲームの主催者としてアウェイのみなさんをおもてなしいたしますが、議論に関してはあくまで対等な立場として臨ませていただきます。「学生にアドバイスをする場」ではなく、あくまでも「問題を色んな立場から話し合う場」であるということをご理解くださいませ。

国保ゼミのフューチャーセンターについて

と明記しています。

 

誰もが主役

第二に、誰もが主役であると印象づけます。説明してきたとおり、フューチャーセンターは100人に1人のアイデアを出せる天才を求める仕組みではありません。多様な個人が、それぞれにできることがある、という思想を大切にします。

これはファシリテーターを始め、参加者を迎えるフューチャーセンター運営スタッフの手際が大きく影響します。積極的に話しかけたり、セッション中に話題を振ったり、参加者に「自分はこの場所に必要とされている」と感じてもらえるように工夫します。

単に参加者の潜在力を引き出すだけでなく、自分が主体的に関わった場から生まれたアイデアは、参加者が自分ごとと捉えます。いつもの会議で上から降りてきて押しつけられたような結論と違い、参加者が自ら行動しやすくなります。

 

発言のハードルを下げる

第三に、バカげた発言こそを歓迎します。いつもの会議で発言する2〜3割の人々は、馬鹿にされない立場の人か、馬鹿にされない自信のある人であるケースが多いはずです。つまり、「馬鹿にされたら格好悪い」「ダメ出しされたくない」という社会人のプライドが邪魔をしています。

参加者にいったん「こんなことも言っていいんだ」と感づいてもらえると、発言のハードルがグッと下がります。場が一気に温まり、対話が活性化します。

 

4. 対話

フューチャーセンターでは、討論して自分の正しさを証明するのではなく、相手を尊重して理解するために対話をします。参加者がフューチャーセンターを充分に理解していないと考えられるケースでは、相手の意見を否定するのを明確に禁止する場合もあります。

なぜ参加者同士が理解しあう必要があるのかというと、分野や業界、セクター、縄張り意識等を超越して、協力関係を築くためです。

少し話が逸れますが、私は学生団体のマーケティングの相談にのることがあります。いい学生団体か、未熟な学生団体かはすぐにわかります。未熟な学生団体は高尚な理念を掲げつつ、それを自分たちだけでやろうとします。逆に優れた学生団体は、その問題を解決するにはどうするのが最も近道なのかという視点を持ち、誰と連携すればいいのかを模索できます。

実はこれは学生団体だけの問題ではなく、企業やNPOや行政でも同様の傾向が見られます。似たような活動をしているはずなのに、交流が一切無いというケースはザラにあります。変に縄張り意識があったり、プライドがあったり、そもそも連携に値するのかお互いに知らなかったりするのが原因です。

フューチャーセンターでの対話で、お互いを知り、お互いの思いを理解し合うことによって、共通の問題意識や共通の未来像をベースに、それまでは考えもしなかったような協力関係を築けます。力を結集できれば、社会を動かすスピードが加速するのは言うまでもありません。

 

5. ポジティブな雰囲気

フューチャーセンターのデメリット

フューチャーセンターには、なにを差し置いても不可欠なものが一つあります。それは、ある問題や課題について「本気でどうにかしたい」という熱い思いを持った個人です。

例えば南相馬市には、原発事故の被害をモロに受けても、「南相馬が好きだから絶対に何とかしてやる!」という熱い思いを持った人たちいました。おらが街は放っておいたら死んでしまうんです。だから彼らは徹底的に真剣です。漠然と社会貢献がしたいから町おこしでもするか、という人たちとは違います。問題があるのはわかっているけど心の底では「何とかなるでしょ」と甘くみている人々とも違います。だからこそ南相馬市のフューチャーセンター『みんな未来センター』は機能したのです。

フューチャーセンターという方法論のデメリットは、それだけでは現実を動かせない点です。率先して行動し、物事を動かそうとする個人がいなければ、せっかくいいアイデアが出ても実行に移せなかったり、活動を継続できなかったりします。

これがいつもの会議であれば、「あなたはこれをやってください」「あなたはこれを担当してください」と責任を振り分けるので、嫌々かもしれませんが、実行には移せるんです。もっとも嫌々では、実行に移せたとしても成果が出ないかもしれません。成果が出ないのであれば、同じことです。

 

コミュニティが自走を始める

未来志向をベースに、多様性に富んだ人たちと、中立的な場で対話を重ねると、何が起きるでしょうか。

「やろうぜ!」と手を挙げたリーダーの思いに周囲が共感します。それぞれが、それぞれのできる範囲で、あるいは得意分野を活かして、積極的にサポートしようという雰囲気が生まれます。ある課題を解決したいという共通目的の元に、立場も世代も超えた協力関係が発生します。

再びみんな未来センターを例に出します。みんな未来センターに集う人々は震災以後、子供たちが安心して遊べる公園を作ろうとしていました。しかしながら、公園を優先的に除染をしても、誰も遊びに来ませんでした。何となく怖い、近所の人の目が気になる、など理屈ではどうにも動かせない問題があったのです。

そこで、市民の手で公園を掃除し、市民の手で放射線量を計測し、自分たちの目でここは安心して遊べるんだと確認できるように考えたのです。

もちろんこれを実現するには、たった一人の個人の手では足りません。

しかしながら、南相馬で活動する様々な人たちが、みんな未来センターで対話を重ねて、お互いの思いを理解し合っていました。“子供たちが安心して遊べる公園” という理想の未来を共有し、段取りはどうする、チラシは誰がつくる、私はあそこのグループに呼び掛けてみる、と、誰が指示するでもなくプロジェクトは自走していったのです。

こうして生まれた高見公園は、2013年夏にはクラウドファンディングでの資金調達に成功し、じゃぶじゃぶ池まで設置することができました。Facebookページでは、たくさんの子供たちがのびのびと遊ぶ様子が見られていました。

機能するフューチャーセンターには、理想の未来を共有する人々が生み出すポジティブな空気があります。ワクワク感に突き動かされるように、コミュニティは自走するのです。

 

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