フューチャーセンター最大の特長である “未来志向” について

フューチャーセンター、フューチャーセッションにはじめて興味を持った方向けに、フューチャーセンターの最大の特長である “未来志向” について解説します。

フューチャーセンターでは、常に未来から考えます。出発点は現在ではなく、未来です。目の前の問題に四苦八苦するのではなく、理想の未来にたどり着くために頭を捻るのが、フューチャーセンターでの対話です。

 

未来志向が斬新な事業、アイデア、商品を生む

どんなに頭を捻っても、なかなか斬新な事業やアイデア、商品は生まれません。それが普通です。

なぜでしょうか?

この問題提起は、こう言い換えることもできます。いつもの会議やミーティングのどこに問題があるのでしょうか?

会議やミーティングに、みんな喜んで参加していますか? 嫌がっている人は、なぜ嫌がっているんでしょうか?

専門家の見地からも様々な見解があるのだと思いますが、企業で働いていた過去の実感、そして信じられないほど魅力的なアイデアが飛び出していた被災地でのフューチャーセッションの経験から、私は以下のような点に注目しています。

・いつもの会議は、現状での最適解を求めるものである
・決まったメンバーで活動するため、タコツボ化しやすい
・下手なことは言えない雰囲気があり、一部の発言者の主導で進められる
・責任を振り分ける場であるため、ポジティブな空気になりにくい

なお、斬新な事業やアイデアが生まれない原因として、「知識や経験、方法論がない」という意見もあるかと思います。が、これは私の考えですが、斬新な事業を生む知識など存在しないと思っています。ひとりのアイデアが世の中を変えるケースはありますが、世界的に見ても稀ですし、連発した個人となると皆無ではないでしょうか。

ただ、優れたアイデアを優れていると見抜く眼力は必要かもしれません。どんなにいいアイデアが出ても、それを取り上げられなかったら成果に結びつけられないからです。

ともあれフューチャーセンターは、いつもの会議のマイナス面を解消しつつ、いいとこ取りをしたような方法論です。

今回はこの中から、未来志向の重要性について解説したいと思います。

 

現状の最適解を求めるのではなく、理想の未来を起点にする

「何ができるか」でなく「何がしたいか」

フューチャーセンターのフューチャー(未来)たる由縁は、何と言っても未来志向にあります。

フューチャーセンターでは「今なにができるか」ではなく、「他ならぬあなたが、何をしたいか」を最上位に置きます。

行動は常に、現状での最適解に基づくのが最善です。しかしながらこの方法では、新しい何かを生み出すには向きません。

 

現状の最適解は制約の上に成り立つもの

過去があり、今があります。過去には学ぶべき点が多いですが、それだけで斬新なものは生まれません。時代が違うからです。社会の仕組み、人々の価値観が違います。だから情報をかき集めて、いい方法を探ります。

でも、現在というのは、実はすごく狭い。制約がたくさんあります。予算、人員、人間関係、価値観、社会的立場、などなど。

新しいことを考えようとしても、予算が足りない、ライバル会社を利することはできない、うちの社風には合わない、人がいない、リスクが高い、採算がとれない、とがんじがらめなのです。なかには、こんなことを言ったら笑われるかもしれない、という制約もあります。

多くの場合、これら沢山の制約のうえに成り立って生まれたものが、現時点での最適解です。

 

未来の可能性は無限

ところが、未来は可能性として無限。まだどうなるかわからない。決まっていない。広大な原野です。

住みにくい土地になるかもしれないし、大都市になるかもしれないし、別荘地になるかもしれないし、飛行場ができるかもしれない。

世の中を動かしている人、影響力のある人はみんな同じ考え方をしています。つまり、「何ができるか」ではなく「何がしたいか」。あるいは「どうあるのが理想的なのか」。

 

理想の未来にたどり着くために頭を捻るのがフューチャーセンター

私たちは、何か課題や問題があると頭を捻るわけですが、目の前の問題に四苦八苦するために頭を使うべきではありません。

実現できるかどうかは関係なく、自分がどうしたいのか理想を明確にして、それを実現するためにはどうしたらいいのかに全力をそそぐべきです。

フューチャーセンターでは、常に未来から考えます。出発点は現在ではなく、未来です。理想の未来にたどり着くために頭を捻るのが、フューチャーセンターでの対話なんです。

だからフューチャーセンターは、斬新な事業やアイデア、商品などを生み出す土壌となれます。

また、私たちは、現状の最適解を求めるいつもの会議に慣れすぎています。例えば静岡県立大学の自らの研究室でフューチャーセンターを立ち上げた国保祥子先生は、それまでのゼミ活動の延長でも済んだのに、敢えてフューチャーセンターを掲げた理由の一つを、意識づけのためと説明されていました。参加者に意識を変えてもらう装置として、フューチャーセンターを名乗る意味があるというわけです。

 

被災地・南相馬市『みんな未来センター』で目撃した未来志向の威力

南相馬市の状況

福島県南相馬市のみんな未来センターの話をします。

南相馬市役所から福島第一原子力発電所まで約30kmの道のり、車ならば1時間もかからない距離です。

当然ながら放射性物質の被害を受け、今でも線量が高い地域があります。沿岸部では津波の被害があり、それはそれで大事なのですが、今回は話をわかりやすくするために(また私自身が知っている範囲でしか言及できないため)放射線問題だけを取り上げます。

南相馬市の市街地は、見た目はそのままです。人々は普通に生活しているように見えます。でも実際は、放射性物質で汚染されている部分が存在します。

除染をしようにも広大で、お金も必要ですし、時間もかかります。たとえ10年後20年後に、放射線を気にせず暮らせるようになったところで、いま現在そこに生活している人たちにとっては意味がありません。特に子供がいる家庭は、まさに今が大切です。私が訪問したのは2012年の夏前ですが、少なくともこの時点では、人々の多くがこのまま住み続けていいのか迷っているとのことでした。

 

未来志向が絶望的状況を打破

なんとかしたくても行政の力には限界があり、国の支援もままならず、どうにもならない絶望的状況です。

ここで機能したのがみんな未来センターでした。南相馬市にも、イノベーター魂を持った人々がいました。彼らが集まって、町の未来を話し合う場所がほしいと作ったのがみんな未来センターだったのです。

みんな未来センターがフューチャーセンターとして機能した最大の理由は、まさに南相馬市には未来志向が必要だったからだと私は考えています。施設が立派だったとか、有能なファシリテーターがいたとか、そんな理由ではありません。

もし南相馬市で、現時点での最適解を出そうとすれば、「どうにもならない」という回答しか出てきません。何から何まで汚染されてしまった。行政だけではとても手が回らない。時間もお金も足りない。何から手をつけていいのかもわからない。

南相馬で何かをやろうとしたら、未来から考えざるを得ないんです。

みんな未来センターの外観。けっして立派な施設ではないが、ここでなされる数々の対話が、南相馬市を大きく動かしている。
みんな未来センターの外観。けっして立派な施設ではないが、ここでなされる数々の対話が、南相馬市を大きく動かしている。

 

溢れ出るアイデア

私がみんな未来センターを訪問したとき、夏のイベントで子供たちとどんな遊びをするか、アイデア出しのブレインストーミングが行われました。

現実問題を考えてしまうと、安心であったり、安全であったり、土地の利用制限であったり、さまざまな制約があるはずです。が、実現の可能性を無視して、「自分だったらどんな遊びがしたいか」「子供たちにどんな経験をさせたいか」だけを考えます(否定は禁止、というルールが事前に共有されていました)。

次から次へと湯水のように湧いてくるアイデア、アイデアにアイデアを上乗せする発想力、バカげた意見を笑いあうポジティブな雰囲気は、驚くほどでした。

私もブレインストーミングにもできる範囲で参加するつもりでいたのですが、圧倒されてしまって何も言えずに終わりました。私自身、自分の頭がカタいほうだとは思っていなかっただけに、心の底から衝撃を受けました。

絶望的状況に向き合って本当の意味で未来志向を必要としていた南相馬の人々と、横浜にいて頭でしか理解していなかった私とでは、天と地ほどに差があったというわけです。

ほんの小一時間で、無数のアイデアが出た。翌朝にはもう、有志が内容を紙にまとめてくれている。
ほんの小一時間で、無数のアイデアが出た。翌朝にはもう、有志が内容を紙にまとめてくれている。

 

現状での最適解も魅力的なものになる

もちろん、未来志向で考えられたとしても、行動に移すためには、最終的には “現時点での最適解” を出す必要があります。

しかしながら、いったん本物の未来志向ができれば、“現時点での最適解” の質がまったく変わってきます。なぜなら、制約の中で生み出された妥協の産物ではなく、理想に近づくためのポジティブな回答となるからです。

フューチャーセンターでの未来志向の対話は、理想の未来という名のゴールを明確にイメージさせます。いったんゴールが見えてしまえば、あとは熱い思いを持った人々が、全力で動かしていくだけです。

 

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