フューチャーセンター活用の2つの指針|アイデア重視かコミュニティ醸成重視か

フューチャーセンターは方法論であり、システムの名称です。よって、どのように活用するかによって、様々に姿を変えます。

日本で成功しているフューチャーセンターは、大きく「アイデア重視型」と「コミュニティ醸成重視型」の2つに分類できるのではないか、という仮説を私は持っています。フューチャーセンターを始めたばかり、あるいはフューチャーセンターを始めたいと思っている方向けに、解説します。

 

運営母体によって重視する評価指標が変わる

いくつものフューチャーセッションに参加している方はご存じのとおり、世の中には多様なフューチャーセンターが存在します。例えば、企業主体のセッションと、被災地でのセッションは、目的も、手法も、雰囲気も、まるで異なります。

具体的には、アイデアを重視するのか、それともアイデアを実行するためのコミュニティづくりを重視するのか、という違いがあると分析しています。

もちろん、アイデアとコミュニティ醸成は、持ちつ持たれつの関係です。どちらか一方が欠けてしまっては成り立ちません。アイデアがなければ現状を変えることができないし、活きたコミュニティがなければ、アイデアがあったところで実現できず、やはり無意味です。

ただし、どのフューチャーセンターも、どちらかに比重が置かれます。なぜなら、フューチャーセンターを活用しようとする運営母体にとって、すでに備わっている要素と、不足している要素があり、当然ながら不足している要素を埋める目的でフューチャーセンターを活用するからです。

 

アイデア重視型(企業や大学など)

もともと持続的組織であるケース、たとえば企業や大学は、フューチャーセンターに斬新なプロジェクト創出、商品開発など、アイデアや気づきや発想を求めます。

例えば企業であれば、仕事として取り組むため、途中で投げ出すという選択肢は基本的にありません。やる気の有無に関係なく、期限が切られ、価値を生み出すために行動が迫られます。組織の枠が実行と継続を助けてくれるというわけです。

一方で、この強固な枠がリスクにもなります。メンバーが固定されていたり、様々な条件(予算、人員、人間関係、価値観、社会的立場、縄張り意識など)に縛られたりする影響で、新しい発想が生まれにくくなります。

そこでフューチャーセンターに、アイデアや気づき、斬新な発想を求めます。

 

コミュニティ醸成重視型(被災地、地方、NPOなど)

被災地や地方、NPOなどのフィールドには、価値のある取り組みをしている人々、あるいは現状を変えようという意欲を持った人々がたくさん存在します。課題に対する答えや、解決の芽は、「すでに存在している」と言っても過言ではないでしょう。

しかしながら、個々の活動では影響力に限界があります。社会を大きく動かすためには(あるいは、変革を加速させるためには)、せっかくの資産を充分に活かすためのコミュニティづくりが必要です。

例えばじゃらんリサーチセンターが手がけた熊本県黒川温泉では、古くから人々に地域づくりの意識が根付いており、青年部を中心にすでに変革の動きがありました。

しかしながら主な経営者層は親世代であり、彼らを説得できればければアイデアを実現できません。そこでフューチャーセンターの仕組みを活用して、互いの思いを理解しあい、理想の未来を共有する必要がありました。

このように、被災地や地方、NPOなどが母体となる活動では、フューチャーセンターに利害関係者による「相互理解」や「理想の未来の共有」など、コミュニティ醸成を期待します。

 

アイデアとコミュニティ醸成を両立してこそフューチャーセンターは成功

もちろんこれは冒頭で断ったとおり、類型的な視点に過ぎません。

例えば、企業であっても、上司や同僚を動かすために、あるいは組織風土を変えるために、フューチャーセンターにコミュニティ醸成を期待する例も少なくないでしょう。

逆に、地方であっても、商工会議所の人間だけの発想だけでは限界があるからと、フューチャーセンターにアイデアや気づきを求める例も当然ながらありえます。

もう一歩踏み込めば、アイデア創出機能とコミュニティ醸成機能の両者を引き出せてこそ、その活動母体はフューチャーセンターの活用に成功していると言えます(少なくとも私の目からは、うまくフューチャーセンターを活用している組織は、両立させているように見えます)。

その前提で、これからフューチャーセンターを始める方は、自分たちのグループが「アイデア」と「コミュニティ醸成」のどちらをより必要としているのかを意識する価値があるはずです。活動におけるフューチャーセンターの位置づけを整理して、活動のトータルデザインに役立てていただきたいと思います。

 

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