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鯖江市で地域イノベーションにおけるフューチャーセンター活用について講演を行いました

特定非営利活動法人Comfortさばえの浜口真一さまよりご依頼いただき、地域・地方おけるフューチャーセンター活用について、FutureCenterNEWS JAPAN編集長として、講演を行いました。

個人的に、地域を良くする手段としてフューチャーセンターに着目したのが、フューチャーセンター・メディアを始めた発端です。地方・地域におけるフューチャーセンター活用のお手伝いは、積極的にさせていただきたいと思っています。

私でお役に立てることがありましたら、ぜひお声掛けください。

 

講演概要

2013年10月14日(日)14:45〜18:00
鯖江市文化センター
テーマ「地域イノベーションにおけるフューチャーセンター活用」

さばえ公共未来塾2013
http://sabae-koukyou.jimdo.com/

 

フューチャーセンターを知る(90分)

1. フューチャーセンターとは

2. 日本におけるフューチャーセンターの活用状況

3. 問題提起:いつもの会議の何が悪いのか?
■いつもの会議は、現状での最適解を求めるものである
未来志向の重要性について
事例紹介/福島県南相馬市「みんな未来センター」

■決まったメンバーで活動するため、タコツボ化しやすい
多様性のある場をつくる

■下手なことは言えない雰囲気があり、一部の主導で進められる
誰もが対等な場をつくる
ひとり一人が主役
バカげた意見こそ歓迎する

■責任を振り分ける場であるため、ポジティブな空気になりにくい
「相互理解」と「理想の未来の共有」のための対話
事例紹介/福島県南相馬市「みんな未来センター」

 

フューチャーセンターを活用する(90分)

1. フューチャーセンターの2つの機能「アイデア創出」と「コミュニティ醸成」
企業におけるアイデア重視の活用
地域におけるコミュニティ醸成重視の活用

2. 地方における活用事例の紹介:熊本県・黒川温泉
じゃらんリサーチセンター・地域イノベーション研究におけるフューチャーセンター活用

3. フューチャーセンターは「ツボ」を押す役割である
「複雑系」という考え方

4. フューチャーセンター活用の様々な事例
都市/みなとフューチャーセンター
行政/東京都
企業/資生堂
NPO・個人/Child Future Session
テーマごと/エネルギー問題

5. 事例紹介:静岡県立大学経営情報学部・国保ゼミフューチャーセンター
研究室におけるフューチャーセンター活用の仕組み
様々な相乗効果
学生と企業による地域活性「茶の和」プロジェクト

6. フューチャーセンターの7つの運営形態
大学
行政
企業
不定形
場所貸し
寺社
シェアハウス

7. フューチャーセンターを作りたいと思ったらどうすればいいか?
フューチャーセンターまとめ
トータルデザインを考える
種を蒔くための土壌を作る(人間関係をつくる)
優れたフューチャーセンターの場を体験し、実感する

 
初めての北陸・福井県ということもあり、4歳と2歳のこどもたちを含め家族で押し掛けましたが、懇親会の開催や、福井県の伝統的民家への宿泊をコーディネートしていただくなど、たいへん良くしていただきました。

浜口さん、さばえ公共未来塾のみなさま、どうもありがとうございました。

 

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フューチャーセンターを成功させる決め手は “トータルデザイン”

日本全国のフューチャーセンターを横断的に見ると、一部の成功している(あるいは、継続的に活動できている)フューチャーセンターと、思うように成果が出せていないように見えるフューチャーセンターが存在する事実に気がつきます。

フューチャーセンターは一つの方法論でしかありません。ですから、フューチャーセンターが成功するか否かを決めるのは、「自らの活動にフューチャーセンターをどう活かすのか?」という視点、すなわちトータルデザインであると考えられます。

フューチャーセンターを始めたばかり、あるいはフューチャーセンターを始めたいと思っている方向けに、優れたトータルデザインに基づいてフューチャーセンターを活用している事例を紹介します。

 

フューチャーセンターは道具(システム、方法論)である

フューチャーセンターの “センター” という語は、日本語の感覚では(行政センターなど)施設を意味する感覚がありますが、実質から言うと “場” と解釈するのが一般的です。すなわち施設を称してフューチャーセンターと呼ぶのは、多くの場合、誤った解釈と言えます。

これからフューチャーセンターを始めようとする方が注意しなければならないのは、「フューチャーセンターという施設をつくり、多様な人を集めて、未来志向で対話をすれば、すべてがうまくいく」という事実誤認であると私は考えています。

例えば、今やスマートフォンの価値を疑う人はいないでしょう。しかしながら、スマートフォンさえあればいい仕事ができるようになるわけではありません。スマートフォンを仕事にどう活用するのか? という視点がなければ、5万円から10万円の投資は無駄になります。

同じように、フューチャーセンターや、そこで行われるフューチャーセッションの価値に疑いはありませんが、的確に活用できなければ宝の持ち腐れに終わってしまいます。

 

静岡県立大学・国保ゼミのフューチャーセンター活用

純粋にフューチャーセンターという名の “場” を設けている組織で、最も優れたトータルデザインを確立させているのは、私の知る限り、静岡県立大学・経営情報学部の国保ゼミです。

国保ゼミは大学の研究室ですから、大前提となるのは学生の教育です。経営情報学部として、社会に出るための準備、すなわちキャリア教育に力を入れているようです。

もとより国保先生には、大学生が社会人と接する機会が少ない事実に問題意識があったそうです。大学と地域社会の間にある溝を埋めようと、オープンゼミを開催していました。

その後、長尾彰氏に「フューチャーセンターを立ち上げませんか?」と声を掛けられたこと、そして震災を契機に学生の可能性に改めて気づいたことがきっかけとなり、フューチャーセンターへと発展させます。

国保ゼミのフューチャーセンター活用の第一義は、学生と社会(人)の接点を生み出す点にあります。

【参考リンク】
フューチャーセンターを立ち上げてみた(1) 立ち上げたきっかけ: Food for Thought

震災とフューチャーセンター: Food for Thought

と同時に、国保ゼミでは、企業とコラボレーションして商品を開発したり、地元と手を取り合って地域活性に取り組んだりと、ゼミ生が必ずマイ・プロジェクトに取り組みます。プロジェクトの企画・設計や、実行において、フューチャーセンターのような場が学生の助けとなるのは言うまでもありません。

しかしながら学生側のメリットばかりでは、地域の人々が継続的に参加する理由がありません。学生は社会経験が不足しているかわりに、社会常識にとらわれずにゼロベースで考えられる強味があります。社会人には環境の制約がある影響で難しいゼロベース思考は、地域社会の人々の課題解決を助けられます。

学生側がメリットを提供できるのであれば、地域社会の人々にとってもフューチャーセンターに足を運ぶメリットが生まれます。そして、社会人として培ってきた知識や経験を、学生側にもたらします。

このギブ&テイクの関係が成立すれば、(未来志向をベースに、対等な関係で対話を重ねることによって)徐々に活きたコミュニティができあがってきます。学生(他学部、他大学も含む)と地域社会の人々の連携が進み、また国保ゼミを参考に新たにフューチャーセンター活用に踏み切る事例も増えつつあります。

結果として、「社会人と大学生がシームレスに協力し合える街(国保ゼミフューチャーセンターを国保先生と共に立ち上げた中村克海さん談)」へと動き始めているのです。

kokubozemi.004

このように国保ゼミでは、教育機関として学生が成長機会を得る目的でフューチャーセンターを活用しつつも、地域社会へは課題解決の場を提供することに成功しています。そればかりか、地域社会の質そのものさえポジティブな方向へ変えつつあります。

逆に言えば、教育機関としてのメリットと、地域社会にとってのメリットの両方を追い求め、両立させられたからこそ、類い希なる好循環・相乗効果が生まれ、国保ゼミフューチャーセンターの他にはない魅力に繋がっているとも言えそうです。

フューチャーセンターを取り巻くすべての人々に明確なメリットがあり、様々な要素が有機的に絡み合うようにトータルデザインできてこそ、フューチャーセンターは真価を発揮するのだという好例だと私は考えています。

 

じゃらんリサーチセンターのフューチャーセンター活用

続いて、じゃらんリサーチセンター・地域イノベーション研究における、熊本県黒川温泉でのフューチャーセンター活用について紹介します。

優れた一個人のアイデアに頼ったり、外部コンサルタントの知識に頼ったりするのでは、一時的には良くても、長い目でみればジリ貧となります。そこで「地域の課題を、自分たちで継続的に解決していけるような地域づくり」を目指すのが、地域イノベーション研究です。

地域イノベーション研究の特徴は3つです。

(1)「生命論的アプローチ」
地域は、分析・管理などの「機械論的」アプローチでは決して良くならない。
地域を複雑な「生命体」と捉え、その本来の生命力を育て、創発を促すアプローチ

(2)「伴走→自走モデル」
外部の人が答えを出す「先生モデル」ではなく、地域の人々が答えを自ら見つける力を養う支援に特化

(3)「土づくり」
いきなり「実づくり」ではなく、関係性・チーム・文化創りなどの丁寧な「土づくり」が欠かせない

地域イノベーション研究|じゃらんリサーチセンター

地域イノベーション研究においては、どうしたら課題を解消できるのか、物事を前に進められるのか等のナレッジがすでに存在します。問題になるのは、ではどうやって現実に人々を動かしていくのか? という仕組みづくりです。熊本県・黒川温泉の事例では、フューチャーセンターあるいはフューチャーセッション的方法論が随所に活用されました。

一例を紹介します。黒川温泉では、古くから人々に地域づくりの意識が根付いており、青年部を中心に変革の動きがありました。地域がもともと有しているこの資産を活かすためには、青年部の親世代である経営者層との相互理解が欠かせなかったと言います。なぜなら、経営者層の理解が得られなければ、どんなに優れたアイデアも実行に移せないからです。

地域イノベーション研究の考え方で表現すれば、黒川温泉という生命が自らの活力を存分に発揮するために、ある種の刺激が必要でした。そこで、フューチャーセッションの方法論を活用します。多様なステークホルダーを招き、全員が対等に、誰もが主役として意見を出し合える場を用意すれば、言うまでもなく青年部世代と親世代の関係は深まります。

※このあたりの詳細については、上記のじゃらんリサーチセンターWEBサイト内、「研究プロジェクトの詳細やポイントは、とーりまかし記事で紹介しています」というPDFリンクにおいて知ることができます。

このように、自らの活動においてフューチャーセンターの方法論が必要となる部分を見極め、的確に当てはめる視点を持つことで、アイデア創出、コミュニティ醸成など、フューチャーセンターの機能を充分に活かすことができます。

 

フューチャーセンターを活用して何をするのか?という視点が絶対に必要

「フューチャーセンターをつくりたい」という気持ちが先行するケースが少なからず存在するのは、あるいは仕方がないのかもしれません。それほどにフューチャーセンターの方法論は優れており、魅力があると私自身も考えています。

しかしながら、「フューチャーセンターをつくりたい」という気持ちは自己満足でしかありません。特に理由もなく「スマートフォンがほしい」からと購入したところで、満たされるのは所有欲だけです。繰り返しになりますが、どのように活用するのかという視点がなければ、宝の持ち腐れに終わります。

一方で、「フューチャーセンターをつくりたい」という気持ちを否定するつもりはありません。なぜなら、どのように活用するかは、後からでも考えられるからです。実際にスマートフォンを触ってみれば、スマートフォンの活用方法に気づくかもしれない、というわけです(逆に、使いにくくて自分には合わない事実に気づく可能性もあるでしょう)。

ただし、フューチャーセンターを成功させ、活動を継続させるレベルにまで引き上げるには、「フューチャーセンターを活用して何をするのか?」という視点が絶対に欠かせません。使い方が的確であってこそ、フューチャーセンターという名の道具(システム・方法論)は、機能を発揮します。

最終的には、国保ゼミのように好循環・相乗効果が生まれるような、優れたトータルデザインを確立するべきでしょう。実現できれば、当初の想定を大きく越え、フューチャーセンターは大きな価値をもたらしくれます。

ぜひ上記の2例を参考にしていただければと思います。

 

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“地域に一つフューチャーセンター” へ一歩を踏み出しつつある静岡県

静岡県立大学・国保ゼミフューチャーセンターに感化されるように、静岡県静岡市内でフューチャーセンター活動が広がりを見せています。核となっているのは各地域の大学、学生です。

 

大学と地域社会を近づけ、新たな価値を生み出す国保ゼミフューチャーセンター

静岡県立大学経営情報学部の国保研究室では、基本、毎週月曜日にフューチャーセンターを定期開催しています。

立ち上げたのは国保祥子先生と、地元企業の取締役を務める中村克海さんです。フューチャーセンターとして人を招くのならと、おもてなしの雰囲気をつくるために研究室をカフェのように改装までしています。

抜群の居心地。静岡県立大学国保ゼミフューチャーセンター | FutureCenterNEWS JAPAN

国保ゼミフューチャーセンターの最大の特徴は、言うまでもなく学生の存在です。学生は社会経験が不足しているかわりに、社会常識にとらわれずにゼロベースで考えられる強味があります。学生ならではの豊かな発想・アイデアは、地元企業、商店を始め、多くの社会人に評価されているようです。

一方、国保ゼミでは、ゼミ生が必ずマイプロジェクトに取り組みます。中には企業とコラボレーションして商品を開発したり、地元と手を取り合って地域活性に取り組んだりという学生も存在します。社会経験に乏しい学生が、プロジェクトを成し遂げるにあたり、経験豊かな社会人の意見やアドバイスが大きな助けになっているとのことです。

地元の社会人は学生の発想力に助けてもらい、学生は社会人の知識や経験に助けてもらう。国保ゼミフューチャーセンターは、大学と地域社会の距離を近づけ、新たな価値を生み出す役割も担っているわけです。

 

常葉大学、三保の松原、静岡大学ほかでフューチャーセンターが発足

国保ゼミフューチャーセンターのシステムデザインの優秀さは、なにより参加者が実感します。参加者が友人知人に薦めるなどして、人づてに評判が広がっています。中には自身でフューチャーセンターを立ち上げるなど、新たな発展も見られます。

静岡市では今年に入って、常葉大学、静岡大学で新しくフューチャーセンターが発足しています。発起人は、どちらも国保ゼミフューチャーセンターに参加した学生です。また静岡県内ではありませんが、おとなり愛知県の「フューチャーセンターなごや」を立ち上げたのも、国保ゼミフューチャーセンターに参加した学生です。

富士山と一緒に世界遺産に登録された三保の松原では、中村克海さんがフューチャーセンターを発足させています。

 

静岡は “地域に一つフューチャーセンター” へ

静岡大学フューチャーセンターを立ち上げた天野浩史さんは、自身のブログで、これら静岡市内でのフューチャーセンター展開について、次のように語っています。

静岡県立大学でフューチャーセンターを立ち上げられた国保祥子先生もおっしゃられていますが、大学にいると、「大学」と「地域」、「学生」と「社会人」の構造があり、どうもお互いの距離が遠いのではないかと感じていました。

本当はその距離がもっと近くなったり、同じ目線に立つことができれば、見えてこなかったものや、今まで感じられなかったことや、課題が解決できるようなアイデアが生まれるのではないか。

また、大学だけに限らず、地域の中でも、学生や地域住民の方が、同じ目線で対話ができることによって、生まれるアイデアや可能性で、静岡を盛り上げたり、地域の課題も解決できるといいなーと考えていました。

そんな想いもあり、「静岡はいろいろな場所にフューチャーセンターがあって、地域住民と学生が同じ目線でセッションできる地域」というビジョンを思い描きました。

静大生のBlog-まち・村・ヒトのコト|発足!静大フューチャーセンター!

「一つの地域に、一つのフューチャーセンター」は、フューチャーセンターに期待する人ならば一度は思い描くビジョンです。天野さんは単に思い描くだけでなく、自ら行動に移したというわけです。

また、今後の静岡におけるフューチャーセンターの展開について対話した第1回セッションでも触れられていますが、フューチャーセンターの拠点として、ハコの維持管理の心配がなく、人も集まりやすい大学は、もっとも適した選択肢の一つです。

静大生のBlog-まち・村・ヒトのコト: 8/16 静大フューチャーセンターレポート

静岡県立大学・国保ゼミフューチャーセンターという優れたモデルケースがある静岡県では、今後も大学を中心にフューチャーセンターが広がりを見せていくのかもしれません。注目です。

■国保ゼミフューチャーセンター – Facebookページ
https://www.facebook.com/kokulabo.fc

■世界文化遺産「三保の松原」フューチャーセンター – Facebookページ
https://www.facebook.com/hagoromofc

■フューチャーセンターなごや – Facebookページ
https://www.facebook.com/fcnagoya

 

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